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「土呂久・小さき天にいだかれた人々」

亜砒焼き谷が刻んだ記憶。

刈干切り唄の哀調のなかに静止した宮崎県高千穂町土呂久。土呂久鉱毒事件は、この九州脊梁山脈にいだかれた奥深い山村で密室の惨劇としえ進行した。
カメラは、人々を、そして<近代>が無辜の民に盛った毒を、村が村自身のことを語りはじめるように、逆流する100年の記憶のなかに焼きつけた。
               <本書帯より>

解説・川原一之

1973年8月発行
発行所:葦書房
287ミリ×230ミリ 172ページ
4500円
絶版

「水俣 厳存する風景 1980」

水俣病事件における健康被害の悲惨さは、1960年代を中心に取材を続けてきた桑原史成氏や胎児性患者を主に取材してきた塩田武史氏、1970年前後の裁判闘争や加害企業チッソ(株)と直接交渉する被害者を取材してきたユージン・スミス氏とアイリーン・スミス氏などの写真で、よく知られている。

この写真集は、1978年暮れから1980年初夏までの約1年半、水俣に住み、不知火海沿岸で暮らす漁民の生活と風土と共に、急性劇症といわれるような激しい症状ではないが、日常を蝕む手足の痺れ、頭痛、歩行困難などの健康被害に苦しむ被害者の存在を伝える。
「ニセ患者」と言われ社会差別を受けながら、認定制度と闘い、チッソ(株)と闘い、悠然と海と共に暮らす人々へ共感を示す写真集。

文・柳田耕一

1980年10月発行
発行所:(財)水俣病センター相思社
290ミリ×230ミリ 176ページ
3000円
絶版  

「咽び唄のさと 土呂久」

長編記録映画「咽び唄のさと 土呂久」(制作・映像集団エラン・ヴィタル 伊藤宏一監督)のパンフレットとして制作した写真冊子である。

映画「咽び唄のさと 土呂久」は、宮崎県高千穂町土呂久の鉱毒事件が告発された直後の被害者の闘いや苦悩を丹念に描く。
宮崎県行政が、太陽と緑の国のイメージを損なわないように、被害を矮小化し、山村の純朴な被害者を丸め込もうとする様子も証言を元に描き出している。
映画では、土呂久鉱山の最後の鉱業権者である住友金属鉱山(株)を被告に損害賠償請求の裁判を提訴するまでを記録。
この写真パンフレットでは、九州山地の小さな集落で暮らす被害者の日常と健康被害の状況、裁判へ至る闘いと村人同士の苦悩を伝える。芥川仁最初の写真集。

1976年7月発行
発行所:映像集団エラン・ヴィタル
298ミリ×210ミリ 32ページ
300円
絶版  

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