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土呂久・輝く闇
宮崎県高千穂町の中心部から大分県境へ車で約30分。宮崎県側の行き止まりの集落が、土呂久(とろく)地区である。現在は、人口150人ほど、30世帯余の小さな集落である。
この集落の真ん中で、致死量0・1グラムと言われる猛毒の亜砒酸を製造する鉱山が、1920年(大正9)から始まったことで、大気が汚染され、土壌が汚染され、水が汚染された。住民の多くがが慢性砒素中毒症となり、一家が死滅し、農作物ができなくなり、牛馬が次々と死んでしまう「土呂久鉱毒事件」が起こった。